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床が高いと廻りの風景も変わって見えます。
普段、同じ高さの視線で見えている物が、ほんの1メートル程度しか違わないのに高い空間から見てみると大きく視野が広がって見えることに驚きます。人間に限らず、動物の本能として高いところに居ると何故か安心感が沸いてくるのは不思議なものです。都会で暮らすことが多くなった私達の生活も、周辺の環境や人との関わりに左右されるようになっています。近隣との接点も大事ですが、防犯やセキュリティーの問題であり、プライバシーの問題でもある道路との関係、日当たりや、音の問題などは、いったん家を建ててしまったあとからではなかなか解消し難いところです。
昔、私達は外敵から身を守るために高床式の家を好んで建てて生活していた時代がありました。今は身近に危険な猛獣や争いなどもなく、安全に暮らせる社会となって、それほど高い家を建てることもなくなったのですが、広い敷地でゆったりとした平屋建ての住宅などを建築するほどの余裕は持てなくなっていることも現実です。現在の日本の都市部の平均建築階数は2.3階くらいになってきています。30年前には2階を下回っていたのですが、限られた敷地を有効に使って暮らしていくためには、やはり上に伸ばすか、下にもぐるしかなくなってきてしまうのは仕方がないことなのでしょう。
床を高くすると、他にもいろいろメリットが出てきます。
床下の通風が良くなり、木造住宅であれば建物の寿命が伸びることにもなりますし、床下に大きな空間が生まれるので、これを利用した大きな収納スペースとして活用することも可能です。建築基準法では、こうした床下空間でも高さが1.4メートル以下であれば床面 積として扱わないこととしており、この範囲の高さなら家全体の高さ制限(例えば軒の高さが7メートルの地域でも)があっても2階建ての家を建築することが十分に可能です。
あなたなら、こうした空間をどのように生かしますか?庭の道具でも、遊び道具でも何でも仕舞い込んでしまう収納派の暮らしを目指すのも良いし、視線が高くなることでオープンデッキを設けたプライベートガーデンを楽しむリゾート派の暮らしも捨てがたいですね。しかも、床下が高いので、お風呂や台所の設備配管などのメンテナンスが容易になり、万一の水漏れなどの事故が起きても安心です。高床式構法の構造的な優位 性は、高床の家を簡単に作れるところにあります。
  床下配管
一般の木造軸組み工法では土台から柱を建て1階と2階の間までの柱(管柱といいます)を多く用いるので、1階の床を高くするためには、床下部の短い柱を建て1階梁を設けるか、長めの柱を別 に建てていくことになりますが、構造的には無駄が多くて、結果的に3階建ての家を建てるのと殆ど同じように、補強したりしなければならなくなります。
高床式構法の場合は、もともと2階建てでも、3階建てでも、殆どの柱を基礎に直付けしており、しかもこれらの柱が全て太い(4寸の)カラマツ集成材で屋根まで通 して立てている(柱勝ち)ので、多少床を高くしても強度的にもまったく問題なく、施工の手間も変わりませんから、2階建ての家を建てるのと変わらず、しかも耐震性が高い住宅を建築することが出来ます。