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この一言が、高床式構法の礎となる革新の技術を確立させました。
従来の木造住宅では、基礎の上に土台を敷き、その上に柱を建てるので、まず基礎と柱をアンカーボルトで固定し、更に土台と柱を金物で固定しますが、このアンカーの施工や柱の金物の取り付け方などが不十分な場合などは、大きな地震が発生した際に柱が抜けてしまったり、土台が基礎からはずれてしまうという問題が起きてしまいます(実際、阪神淡路大震災での住宅被害の大半が、柱の倒壊によるものです)。

 柱の倒壊

 土台の腐れ
そうした被害が起こる度に建築基準法の見直しが行われ、これらの欠陥である基礎、土台、柱の固定を補強する金物の取り付けなどが義務付けられ、地震時に大きな力がかかる柱の下部に対して、土台を挟んだ基礎と柱を、太い引き寄せ金物(ホールダウンアンカーという)で繋ぐ方法が取られることとなりました。しかし、柱や土台の交差部にはスジカイの固定のための金物等もあるため、施工が難しかったり、必要な強度に対する金物の選択などが複雑だったりして、設計や施工でのミスやロスも起こりやすいという話も多く聞かれます。
 
これら木造住宅の重大な欠点を補えないかということから、基礎と柱を直接固定してしまう方が確実で安全ではないかと考え、基礎と柱を直接締結するオリジナル金物(TSAアンカー)が開発されました。幾度も公的試験場で実験を行い、強度も従来の構造をはるかに凌ぐことが分かり、実際の建物で施工をすることにしましたが、土台を用いないので、基礎にTSAアンカーを取り付ける精度が重要になってきます。アンカーの位 置が数ミリでも狂うと柱がずれてしまい、家全体が歪んで建ってしまうことにもなりかねないので、精度よく基礎とアンカーを取り付けなければなりませんでした。

 TSAアンカー取付治具

柱直付け部

今まででは、多少基礎の精度が悪かったり、アンカーがずれていても土台の取りつけ時に調整して柱を付けたりしていたので、多少の狂いは気にしないで施工されていましたが、本構法では、しっかりした精度管理が必要となります。
高床式構法では特殊な施工治具(レール)を開発することで、比較的容易に精度良く施工することが出来るようにななりました。ある有名な認証機関センターの技術責任者の方が、この高床式構法の基礎を見て「これは施工が大変ですね、これが本当に出来たら木造住宅の革命ですよ」と言われましたが、まさに、日本で初めて、これを実現することに成功したのが高床式構法です。

一般に、木造住宅を建設する場合、これまでの木構造では、基礎の上に土台を敷き、その土台に柱を固定しています。そもそも土台が出来たのは、柱を立てる前にその下(礎となる基礎)の水平性を保つようにするためと、柱を直接地面 に付けるのは固定方法が困難なためであり、一説には移築し易くする為であったということです。昔はコンクリート施工の技術がありませんでしたから、礎(石を削ったり、重ねて積石の台を作り)の上に木の土台を敷いたようです。
しかし、木である土台(木台が正しい?)をコンクリートの上に載せた場合、木がコンクリートの水分を吸って腐ってしまい建物の寿命を短くしてしまう危険性があります。特に水廻り部や、雨がかかり易い部分などは顕著に腐食が進みます。又、基礎と土台を繋ぐアンカーボルトが適切に施工されていないと、いくら上部の建物を支える柱や梁が丈夫でも、土台が基礎からハズレてしまい、なんの意味もなくなります。

 TSAホールダウンアンカー

アンカーボルトの取り付け精度については、土台の中央部にしっかりと固定できるよう、基礎コンクリートの施工前の鉄筋を組む際に、予めまっすぐに立てておく必要がありますが、施工中の建物を見ると、結構いいかげんに付いているものも多いようです。中には、俗に「田植え」と呼ばれるような、基礎コンクリートの施工の際に、あとから付けているアンカーボルトもあったりして、コンクリートとの間に隙間を生じてしまうような危険な状況となる場合もあります。
こうした事からも、出来れば土台を設けずに、基礎と柱を直接に精度良く固定できたら万全な構造となると考えられます。それを実際に行うことが可能になったのが高床式構法の基礎システムです。


住宅の基礎は、ビルなどの基礎と違って、地面から基礎を立ち上げている場合が多いのです。これは日本の住宅が裸足で生活する習慣から、玄関で靴を脱いで上がるためで、そのために基礎を30〜40センチ程度、地面 から高くしています。
しかし、この立ち上がり部分の強度が問題です。あまり細いと上部の建物の加重に耐えられなくなり、地震などの大きな力が加わった場合に立ち上がり部が倒れてしまうこともあります。

 ダブル配筋

又、この基礎立ち上がり部のコンクリートを支える鉄筋も重要です。一般 の住宅ではこの立ち上がり部の鉄筋(主筋といいます)がシングルで入っているものがほとんどですが、高床式構法の基礎の場合は木造住宅では類を見ないダブルの配筋及び地中梁を標準としています(ビルの梁スラブの配筋と同じ)。
これによって地震時などの応力にも充分に耐えることが出来、倒壊の心配はまずありません。当然ながら、このダブル配筋で基礎コンクリートの幅も大きくなり200ミリの幅寸法となっています(従来の基礎立ち上がり部幅寸法は120〜150ミリ程度が多い)。過剰設計ではないかというご指摘を受けることもありますが、高床式構法を支える基礎については、これが当然のサイズであるという確信と信念を貫いている証拠です。