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耐震性に優れ、高品質でしかも長く住み続けても資産価値が下がらない住宅を建てることは、住宅産業に携わる人が抱く共通 の夢です。
軸組構法の原点に立ち還り、戦後50余年間築かれてきた住宅産業の常識さえも見直し、探求を続けた結果 、全く新しい着想による木造住宅の構法へ辿り着きました。これが材木本来の力を十分に引き出すことのできる「高床式構法」です。
在来の工法は、梁や土台など材木を横方向に使用する工法で、梁勝ち工法とも言われます。 一方、高床式構法(TSA構法)は通し柱を多用して縦方向に使うので、柱勝ちとなります。
通し柱が主となることにより梁架けの自由度が増し、3階建て住宅やスキップフロアなどの縦方向の空間の施工が容易になりました。高床式構法による柱は基礎コンクリートの上にダイレクトに立てられ、基礎と柱は専用のTSAアンカーで緊結されるので地震にも強く、長期の耐久性に富んだ構造になっています。
・土台を用いない、柱を直接基礎に取り付けるダイレクトジョイント方式。
・腐敗の原因である土台が消えて住宅の寿命が延びる。
・木(土台)で受けていた力をコンクリートで受ける。
・地震に強く、3階建てにも対応。
・ダブル配筋200mm幅の強固な基礎。
・高精度な基礎施工ができる。
・ほとんどの柱を通し柱としているので強固な構造躯体となる。
・自由に階層を設定することができ、空間構成が広がる。
・シングルスリットの接合により構造材の断面欠損を最小に出来る。
・強度のある国産カラマツ集成材を使用。
・高床構成などにする事で日当たりや眺望がよくなり、北側の土地の日照問題が改善される。
・高床の為、水害時の被害を軽減出来る。  
  
宮澤 健二(工学院大学建築学科教授)

 ・建築構造学を専門とし、木造住宅の耐震性の研究とその啓蒙活動は広く知られている。

 ・阪神淡路大震災の震災調査報告、実大振動実験や耐震診断等の研究報告多数。
 我が国の建物の大半は木造と言っても過言ではありません。それ位木造住宅の着工面 積は大きいのです。また近年多くの地震災害が発生し、住宅の耐震性が重要視されています。そして我が国の住宅は20〜30年で建て替えられています。資源問題と地球温暖化の問題は人類の大きな課題となりつつあります。木材は再生可能な唯一の構造材料であり、且つ建設時には二酸化炭素放出量 も少ないことが知られています。木材を有効に使った良質な住宅を長く使い続けることが求められています。
 そんな中で考案された高床式構法は木材の良さを活かし十分な耐震性を確保し、新しい空間構成を可能とする、全く新しい発想に基づく構法です。高床式構法は一言で言えば、通 し柱を使った柱勝ち構法で、特殊金物を用い木材断面の欠損を無くした耐震構法です。住宅金物製造の長い経験とノウハウから生まれた新しい構法です。
 木造の耐震性は接合部です。近年の木造住宅は金物構法とも言われています。しかし、プレカット構法とこの金物多用により、木材自体の強度低下が懸念されます。高床式構法は金物を使いつつ木材の断面 欠損を殆ど無くしたのです。また木造では柱脚の浮き上がり防止は耐震性の要です。高床式構法では基礎のコンクリート打設時にT字形断面 の金物を固定します。そして土台部分は柱勝ちとし、柱脚をこのT字形断面の金物に固定します。T字形断面 の金物はホールダウン金物の役割を果たします。コンクリート基礎に固定されていますから十分な耐力を発揮します。
 更に主な柱については、通し柱の柱勝ち構法となっています。柱と梁の接合部にもT字形断面 の金物を用いることにより、従来の木造軸組構法に必要とされるホゾ、蟻掛けなどの仕口加工が不要であり、材木の断面 欠損を最小限に押える構造とし、強度とねばり強さを発揮するようになっています。
 本構法の耐震性能の確認や従来工法との比較検証は、接合部や平面架構の水平加力実験により、顕著な効果 があることが実証されました(財)建材試験センター、試験報告書など参照)。本構法はこれら一連の実験研究と共に既に数十棟の実績があり、高床式構法の有効性は実証されつつあります。
 本構法を展開することにより長年の懸案であった国内木造住宅の資産価値低下の歯止めに少なからず寄与できるものと考えます。また、高床式の架構を用いることで耐震性の向上が見込め、低層木造住宅だけではなく3階層以上の木造住宅、ひいては大型木造建築の新たな可能性が広がるとものと期待されます。